糖尿病内科とは
糖尿病内科は、糖尿病を発症している患者様、健康診断などで糖尿病予備軍(糖尿病の気がある)と指摘された方を主な対象にした診療科です。
糖尿病は自覚症状がほぼ現れないので病状を進行させやすい特徴があります。そのため症状に気付いたときには、すでに合併症※(糖尿病網膜症、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、心筋梗塞、脳梗塞など)を発症していたというケースもよく見受けられます。そのような状態にならないためにも日頃より糖尿病か否かの検査を定期的に行うようにします。その結果、糖尿病の発症が確認されたら、まず血糖(血液中に含まれるブドウ糖)が血液中でダブつかないようにすることを心がけます。つまり高血糖な状態が続かないようにするために血糖をコントロールしながら、合併症を予防することが大切なのです。
当院では糖尿病が疑われる方には、血中の血糖値を調べる(空腹時血糖値)検査やHbA1cの値を調べる検査を行います。どちらも採血後数分で結果がわかりますので、その数値などから、速やかに治療に反映することも可能です。
以下のような症状のある方は、ご相談ください(例)
- 健診等で「血糖値の異常」を指摘された
- このごろ目立って太ってきた
- いくらでも食べられる
- 急に甘いものがほしくなる
- よく食べるのに痩せる
- ひどく喉が渇く
- 尿の回数が多く、量も多い
- 尿の臭いが気になる
- いつも残尿感がある
- 下腹部が痒い
- 手足がしびれる
- 足がむくむ
- やけどや怪我の痛みを感じない など
糖尿病について
糖尿病とは、慢性的に血糖値が高い状態にあることです。もともと血液には、糖分(ブドウ糖)が含まれているのですが、これが血糖です。そして血液中にある血糖の濃度を血糖値と呼びます。この血糖値は高すぎても低すぎても体に悪影響なのですが、通常(健康)であれば体内にあるインスリン(膵臓から分泌されるホルモンの一種で、血液中の糖分を組織に取り込ませ、血糖値を下げる働きをする)が働くことで一定のバランスに保たれているのです。
血糖値は食事をとるなどして上昇するのですが、インスリンが正常に機能していればその数値は下がります。しかし、何かしらの原因によってインスリンの分泌量が低下したり、全く出ない状態、あるいは分泌量が充分でも機能しないといったことになると食事などから摂取したブドウ糖は血液中でダブつき、血糖値は常に高い状態が続くようになるのです。これが糖尿病です。
糖尿病は初期の段階では、ほとんど自覚症状はありません。そのため、血糖値は高い数値のままで維持されている状態となります。こうなると血管は常にダメージを受け続けて柔軟性を失い、動脈硬化を促進させるようになります。そして細小血管で起きる様々な合併症(糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害など)や大きな血管で起きる大血管障害(心筋梗塞、狭心症、脳卒中など)を発症させるようになるのです。なお、糖尿病は免疫力を低下させるので、感染症にも罹りやすくなります。
糖尿病のタイプ
インスリンが出なくなる、もしくは作用不足になることで糖尿病を招くわけですが、その原因というのは主に4つ(1型糖尿病、2型糖尿病、2次性糖尿病、妊娠糖尿病)あり、これが糖尿病のタイプになります。
4つのタイプの中で最も多いのが全糖尿病患者のおよそ9割を占める2型糖尿病です。これは日頃の不摂生な生活習慣(エネルギーの過剰摂取、運動不足)、遺伝的要因、ストレスなどが原因と考えられています。また1型糖尿病は、インスリンを産生する膵臓のランゲルハンス島β細胞が主に自己免疫によって破壊され、インスリンが分泌されなくなる状態を言います。若年層の患者様が多いことでも知られています。こちらは全糖尿病患者の5%ほどの患者数と言われています。
このほかのタイプですが、2次性糖尿病は、遺伝子異常や特殊な病気(内分泌疾患や膵疾患、ウイルス感染など)や薬剤などが原因で起こる糖尿病です。また妊娠糖尿病は、インスリンの働きを弱めるホルモンが妊娠時は胎盤から多量に分泌されることから起きるもので、高血糖状態に陥りやすく、糖代謝異常の状態になります。こちらは完全な糖尿病ではありません。
治療について
糖尿病の治療では、まず食事療法と運動療法を行い、必要に応じて内服薬やインスリン注射を行います。なお、1型糖尿病の場合は、体外からインスリンを補うことで、血糖をコントロールしやすくするインスリン注射(インスリン療法)が中心になります。
2型の場合は、わずかながらでもインスリンが出ている状態なので、まず食事療法(適正な量のエネルギー摂取とするために、間食や外食は控え、清涼飲料水・糖分・果物の摂り過ぎに注意します。また飲酒時のつまみをやめ、ご飯は軽く一膳程度に。それでも空腹の場合は、海藻・キノコとともに、野菜をなるべくたくさん摂るようにします)を実践します。次に運動療法(ゆったりと全身の筋肉を使う有酸素運動など)も行うなどして、生活習慣の改善を行います。それだけでは血糖値が下がらない場合は、薬物療法として、血糖降下薬を服用するほか、それでも改善が見られない場合はインスリン注射などによる治療を行います。