禁煙外来とは
禁煙外来は、禁煙を考えている喫煙者の方を対象とした外来です。治療を行うにあたっては、健康保険が適用されることもあります。ただし、その場合はある一定の要件を満たすことが必要で、その判断は初回の診察で医師が行います。診察の結果、要件を満たさなかったとしても全額自己負担（自費診療）で受診できます。なお一定の要件とは以下の内容になります。
健康保険が適用される禁煙治療
- ニコチン依存症を診断するテスト（TDS：Tobacco Dependence Screener）で5点以上
- 35歳以上の方でブリンクマン指数（1日の喫煙本数×喫煙年数）が200以上（例えば、25歳から1日15本喫煙している45歳の人なら、15（本）×20（年）＝300であり、対象となります）※2016年4月より、35歳未満にはこの条件はなくなりました
- すぐに禁煙したいと考えていること
- 医師から受けた禁煙治療の説明に同意し、説明内容に納得された時は、文書で同意（サイン等）すること
※過去に健康保険等で禁煙治療を受けたことのある方の場合、前回の治療の初回診察日から1年が経過しないうちは「自由診療」となります。
タバコについて
200種類以上の有害物質が含まれるとされるタバコの煙のうち約50種類の物質に発がん性があると考えられています。そのため、タバコが原因と考えられるがんは、肺がんや喉頭がんのほかにも、胃がんなど様々なリスクが指摘され、がん以外にも循環器疾患（動脈硬化や心筋梗塞 など）、肺炎やCOPD（慢性閉塞性肺疾患）などの呼吸器疾患、脳出血や脳梗塞などの脳疾患などの原因にもなると言われています。
このようなリスクを回避するためにも禁煙治療は速やかに開始する必要がありますが、喫煙習慣は単なる嗜好ではなく、一種の薬物依存であることが厄介なのです。つまりタバコにはニコチンの作用がもたらす脳や身体への快感による身体的依存のほか、心理的依存（ホッとする、スッキリするなど）も重なっているので、禁煙することは容易ではありません。そのため意志が弱いかどうかの問題ではなく、ニコチンのもつ強い依存性が原因であり、ニコチン依存症は治療が必要な病気なのです。
治療について
当院では、禁煙治療を行うにあたり、これまでの患者様の喫煙歴をお聞きするなどして、医師が総合的に判断した後に禁煙補助薬（チャンピックス、ニコチンパッチ）を処方いたします。
どの治療を行うにしても治療期間は12週間にわたり、5回の診察・指導がプログラムされています。当院で処方する禁煙補助薬は以下の通り。
チャンピックス（飲み薬）
チャンピックスとは、バレニクリン酒石酸塩が主成分の禁煙補助薬で、イライラ感や焦燥感といったニコチン切れ症状を軽減するほか、タバコを吸ってもおいしく感じにくくするといった効果が期待できます。
処方の仕方ですが、禁煙開始予定日の1週間前から服用（1日2回食後にコップ1杯程度の水またはぬるま湯で服用）し始めます。飲み始めの1週間はタバコを吸いながら服用し、8日目に禁煙（タバコを自然に吸わなくなったら8日目を待たず、早めに禁煙に入ります）を始めます。効果が出てきたからと途中で服用をやめたりせず、医師の指示どおりに服用を続けてください。
副作用については、吐き気、不眠症、頭痛などが報告されています。このような症状が現れたら速やかに服用を中止して医師へご相談ください。
ニコチンパッチ（貼り薬）
ニコチンを含んだ貼り薬になります。1日1回、上腕や腹部、腰背部などに貼ります。同じ位置にばかり貼るとかぶれることもあるので、かぶれを防止するためにも毎日違う場所に貼るようにします。これを貼ることでニコチンは皮膚からゆっくりと吸収されます。
なおタバコにはニコチン以外にも一酸化炭素などの有害物質が200種類以上も含まれていますが、ニコチンパッチにはニコチンしか入っていないので、タバコよりは安全です。
費用について
初診料、再診料を含め5回分の合計になりますが、チャンピックスの場合は3割負担で17,790円（初回が3,210円、2回目が3,180円、3回目が5,240円、4回目が5,240円、5回目が920円）、1割負担の場合は合計で5,940円となります。
一方のニコチンパッチですが、この貼り薬を最大限使用したとしても初診料、再診料を含め5回分の合計で、3割負担であれば12,200円（初回が3,400円、2回目が2,790円、3回目が4,160円、4回目が930円、5回目が920円）、1割負担の場合は合計で4,070円になります。
